普段の食事が薬になるという古代インドの教え
これまで日本では、『アーユルヴェーダ』というと、だいたいはオイルでマッサージするエステのことじゃないかなぁという方も多いと思います。
私も最初の印象は正にそうだったので、自分自身が体調をくずしてから辿り着いた健康法が『アーユルヴェーダ』からの方法と知りびっくりしました。
学んでいくと『アーユルヴェーダ』とは「生き方の知恵」ということに気づかされます。
古代インドの英知であるアーユルヴェーダはもっと身近な生活の知恵として日本でも広まっていけばいいなと思います。
日本では、
「あなたのホームドクター誰ですか?」と聞くと大抵の人は「近所の〇△内科です。」と答えます。
でも、アーユルヴェーダでは、ホームドクターは家庭の主婦やおばあちゃんであって、
薬局は家庭の台所だと考えられています。
これを台所薬局、キッチンファーマシーと呼びます。
アーユルヴェーダに出てくる食材は、もちろん日本にないものがありますが、
日本の食材であっても、アーユルヴェーダの内容に沿ったレシピで心身の不調に役立つものも作れます。
起源が5000年前にもさかのぼるといわれている古代インドの伝統医学アーユルヴェーダは、現代医学のように、病気の治療を主に行う医学ではありません。
身体と心の状態に応じて、病気の予防と治療、健康増進法を処方するもので、医学でありながら、生活や生き方の知恵ともいうべき性格をもっています。
最近では、生活習慣から病気になるということがわかってきましたが、アーユルヴェーダでは古代インドの時代から、各自の生活を正すことが治療でした。
それは、ヨガや呼吸法、瞑想、マッサージ、食事、睡眠など、各自に合った生活処方を正しく実践することによって健康維持をはかるのです。
特に食事に関しては、重要視されて大切にされてきました。
アーユルヴェーダの古典「チャラカ・サンヒター」では
「正しい食物をとることが人間を健康に発育させる唯一の方法です。
また、正しくない食物を摂ることが病気の原因です」(チャラカ・サンヒターI-25 -31)とあります。
また、インドの諺にも「食物が適切でなければ薬はいらない。食物が適切であっても薬はいらない」とあります。
つまり食物は、身体だけではなく、心や人格にも影響するものであり、薬と同等だというのです。
これがアーユルヴェーダの薬食同源の考え方です。