選ばない人はなぜ短命なのか?
動物園にいる動物は、野生の動物よりも
はるかに食料、衛生状態の面で恵まれているにも関わらず、
寿命は圧倒的に短いです。
例えば、
野生のアフリカ象の平均寿命は56歳
動物園のアフリカ象の平均寿命は17歳
そして、動物園の動物には、過剰な毛づくろいや、
意味のない往復行動など、神経症の症状がみられる動物が多いのです。
そして出生数の減少、乳児死亡率が高いなどの問題も生じています。
その理由は、野生の時のような「選択」ができないからだというのが
研究によって明らかになってきています。
動物園の動物は本能と全く相いれない生活を送ることになります。
例えば、野生であれば天敵のにおいがしたら、その場所から逃げ出し
安全を確保するという本能があります。
しかし、動物園では、毎日天敵のにおいがしても逃げることはできません。
冬場に渡りをしたり、食料を蓄えたりすることも許されません。
自分で食料を調達するという選択肢もないのです。
つまり、自分の生活を自分の手で変えることが全くできない状況のまま、
生涯を過ごすことになります。
「選択することができない」
という意識は健康に悪影響を与えます。
それは人間にも言えることです。
1976年に、アメリカのコネチカット州のとある老人ホームで実験が行われました。
それは、
入居者を次の2グループに分けます。
A. 自分で選んだものではない鉢植えをもらう。世話は看護師がする。映画の上映会が金曜日か土曜日にあると言われる。
B. 自分で好きな鉢植えを選び、世話も自分でする。映画の上映会が金曜日か土曜日にあるが、どちらか好きな曜日を選んでみることができると言われる。
これぐらいの違いであるにもかかわらず、三週間後には
Aグループの70%以上の人の健康状態が悪化し、
Bグループは90%以上の人の健康状態が改善しました。
この実験の興味深いところは、
与えられた選択肢がごく些細なことで、そのほかのことはほとんど変わらない暮らしをしていたということです。
つまり、日常のどんな些細なことであっても
「自分で選択している」という意識を持つだけ、またはそういう選択をしているだけで、
「自分は環境をコントロールできる」という意識を高め、健康的な生活を送れるということを示しています。