温めたオイルのマッサージの効果
アーユルヴェーダでは、身体の内側と外側にオイルを与えることを「スネーハナ」といいます。スネーハナはデトックスの方法として適しています。
それは、温めたゴマ油を身体に塗ると、
・エネルギーの流れが増える
・消化が改善する
・ストレス、抑圧されていた感情、毒素の放出が促される
などのリラックスと若返りの効果が得られるからです。
オイルを使ったマッサージには、驚くほどデトックス効果があります。
皮膚の下の組織に刺激を与えることにより、毒素が器官に蓄積するのを防ぎ、消化管に流れて排出されるのを促します。
マッサージを受けているときにリラックスしながら、活性化とデトックスの効果が得られるのです。
オイルを使用するときは
身体の外に使う場合は湯煎にかけて温めます。
オイルを温めるのは、抗酸化作用が高まることがわかっています。
内服するときは、コールドプレスしたゴマ油を使って、ヴァータの乾燥した粘膜や組織を潤し、乾燥して硬くなった毒素を柔らかくゆるめます。加熱せず、大さじ1~2杯を毎日飲むとよいでしょう。
毎日マッサージでオイルを使用するのは、朝に行うのが善いです。
全身にオイルをすりこみ、5~15分たって肌にオイルがしみこんでしっとりしてきたら、温かい湯船に入るかシャワーに入ります。そうすると、オイルが吸収され、組織層に滋養を与え、デトックスします。
温かい湯船やシャワーによって、皮膚の毛穴を開き、オイルをさらに身体の中に浸透させます。
緊張を和らげ、不眠を軽減するためには、夜寝る前に行うのが最適です。
この場合、足の裏にもオイルを塗ります。
オイルの温度は夏なら室温ですが、冬は温める必要があります。
特定の効果をより高めるために、エッセンシャルオイルを加えるのがおすすめです。
例えば、ストレスや緊張にはラベンダーオイル、関節痛にはフランキンセンスを、
循環を高めるためにはジンジャー(しょうが)を加えます。
<ゴマ油の薬効>
ゴマ油は、アーユルヴェーダにおいて、最高の治療薬になるといえます。
ヴァータのバランスを整える最良の治療薬であることは、ヴァータの混乱が、その他の2つのドーシャのアンバランスの原因になるからです。
ゴマを絞った、濃厚でほぼ無臭のオイルは安定していて、抗酸化物質を含んで酸化しません。(適切に保存すれば)そのため、インドや中国では料理用のオイルとして人気があります。
栄養価がとても高く、ビタミンA,B,Eのほか、鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、ケイ酸、リンなどのミネラルを含みます。
抗酸化物質、リノール酸、アルファリノール酸のほか、レシチンも含んでいることは、脳や神経系に有効だということです。
オリーブオイルと同様に、ゴマ油は有害なコレステロール値を引き下げる効果があるとされています。
大半のゴマ油は、白ゴマから作られています。
インドでは、黒ゴマを絞ったオイルがもっとも治癒効果が高いと言われています。
インドでは、マッサージのことを「アヴィアンガ」といいます。
ゴマ油を使ったアヴィアンガは日常生活の一部で、アーユルヴェーダが取り入れられている大切な一面でもあります。
マッサージに好んで使われるのは、その化学的組成が、皮膚に浸透しやすく、もっとも深い組織層にまで滋養を与え、デトックス作用をもたらす、独特の性質を作り出しているからです。
ヴァータのバランスを整えるのに最適なオイルですが、控えめな量であれば、ピッタやカパ体質の人にも効果があります。
定期的に使用すると、ゴマ油はストレスや緊張を軽減し、神経系に滋養を与えて、神経疾患を予防し、疲労や不眠を軽減し、体力や活力を高める、素晴らしい効果を発揮します。毎日使用している方は、気持ちが以前よりも落ち着き、ストレスからの回復力がつき、エネルギーが高まり、感染症に対する抵抗力が高まったというデータもあります。
また、その活力を与える性質は、坐骨神経痛、月経痛、腰痛、関節痛など、痛みや筋肉の痙攣を軽減します。
抗酸化物質を含んでいるため、加齢プロセスを遅らせ、寿命をのばすともいわれます。
肌に定期的にすりこむことで潤いが戻り、柔らかさ、柔軟性、若い見ためを保てます。
身体の中でも、特に関節と腸に潤いをもたらす効果があり、刺激性の咳、関節を曲げたときの音、硬い便といった症状を和らげます。
ゴマ油の治癒効果は、研究により明らかになり始めています。
ゴマ油を毎日使った人は、肌の細菌感染がより少なく、関節の諸症状を軽減することが分かっています。おそらくこれは、ゴマ油の40%を占め、抗菌性と抗炎症性を持つ、リノール酸が関係していると思われます。またゴマ油は抗体産生を促し、免疫力を高めます。さらに抗ガン性があり、悪性黒色腫の成長を抑制することが分かっています。