アーユルヴェーダで考える 病気の6段階
病気がどんな段階を経て進行するかを理解すると、体調不良の兆候に早く気づいて悪化する前に対処できます。つまり適切な予防策や治療方法を講じる事ができます。
アーユルヴェーダでは病気になり悪化していく過程を6段階に分けて考えられています。
どんな病気でも、その進行段階を確認できれば、明確な予後、つまり今の症状からいつ、どの程度回復するかを示すことができます。
漠然としていて明確に定義されていない初期症状には3つの段階があり、多くの場合きづきません。はっきりとした症状が現れるのは、そのあとの3つの段階です。
通常は病気ではないかと考えます。もし初期の3段階で、体調のわずかなアンバランスに気づくことができたら、その状況を改善して、病気が進行していくのを防ぐことができます。
アーユルヴェーダでは、すべてのドーシャの乱れは、次のように、まず心から始まると考えます。
誤った心の状態とは
・アヴィデャ(無知)
「健康に良いことは何か?」「どのように行動していたらよいか」ということに関して間違った情報をとりいれていること。
・アステヤ・インドリア・サマータ(感覚の悪用)
過剰なアルコールの摂取が有害で中毒性があるにも関わらず、アルコールの摂取は身体に良いことだと考えるなど間違った判断を下すこと
・プラジュナー・アパラーダ(知性の過信)
アルコールの飲みすぎで二日酔いに苦しんだり、高血糖の発作をおこしているのに糖質を摂りすぎるなど、過去の経験から学ばず、同じ間違いを繰り返すこと。
このような知性の過誤は、病気の6段階を引き起こします。
- 蓄積(チャヤ)
- 悪化(プラコーパ)
- 拡散(プラサーラ)
- 局所化(スターナサンシュラーヤ)
- 発症(ヴィヤクティ)
- 多様化、明確化(ベーダ)
これらの状態を1つ1つ見ていきます。
まず蓄積について、蓄積は身体の主座にあるドーシャが、増加、蓄積、停滞する段階です。
各ドーシャ別の主座は次のようになります。
・下腹部:大腸など、ヴァータ
・中腹部:胃、小腸、肝臓など、ピッタ
・上腹部:胸、のど、頭など上腹部と呼吸器官、カパ
「蓄積」段階では、まだはっきりとした予兆や症状はでていません。
ただ、ドーシャが増えていることに気づくだけです。
例えば、ヴァータが増えると、腹部膨満感、ガスが発生、便秘になります。
ピッタが増えると、火照りや胃酸がやや増えていることを感じます。
カパが強まると倦怠感、消化不良、カタルを生じることがあります。
つぎに、
「悪化」の段階です。
・食物(アーハーラ)
・活動(ヴィハーラ)
・季節や気候の変化(チャーリヤ)
など、これらに関して、ライフスタイル、ストレスなどがあるとドーシャがさらに強まります。
つぎは、「拡散」
ドーシャがさらに蓄積すると、主座から流出して他の組織、特にそのドーシャと親和性の高い組織に拡がっていきます。例えば、ヴァータがさらに蓄積すると、下腹部からあふれて心に流れ込み、不安や不眠をひきおこします。また、関節に流れ込むと関節痛を引き起こします。ピッタが胃や小腸からあふれると、イライラ、完璧主義、皮膚疾患などに現れます。
また、カパがさらに悪化すると胃の中にあるクレーダカ・カパ(消化をつかさどるカパの亜区分)が影響を受け、消化不良、食欲不振、倦怠感を引き起こします。
同時に1つ2つ、もしくは3つのドーシャがすべて関与する場合があります。
このような場合は、まずどのドーシャに対処すべきか迷います。
悪化しているドーシャがヴァータであるが、ピッタの主座(皮膚)などに拡散している場合はピッタに行います。
また、悪化しているドーシャがピッタで、カパの主座に拡散している場合は、カパに行います。
いずれも主座のドーシャを治療していきます。
つぎに「局所化」
病気の初期症状を示し、まだはっきりとした症状としては現れません。
悪化し、拡散し、身体の他の部分に拡散したドーシャが局地化し、その組織に関連する病気の始まりを示します。
該当する組織(ダートゥ)と相互に作用します。
悪化したドーシャの局所化の場所は、組織(ダートゥ)の強さや弱さによって選ばれます。この段階であれば、食事やライフスタイルの変化やハーブの利用により、病気の進展を逆行させることが可能です。
つぎの段階が「発症」です。
悪化したドーシャが定着した場所に、病気の症状が現れます。関節なら関節痛、頭なら片頭痛などがその例です。
つぎの段階は「多様化、明確化」です。
急性、慢性、治療不能の病気の段階です。食事とライフスタイルに関する助言とハーブの利用で、症状の改善や軽減はできますが、完治させることはできない状態です。